

ちょっと朝が苦手な男の子の話。
いつもゆっくり登園し、朝の活動に遅れてくることもしばしば。
そんな彼も4月からは小学生。
小学生の朝って早いですよね。小学校の近くに住んでいる私は、毎朝小学生が校庭を走り回る声に目が覚めます。朝から元気だな~と微笑ましいくらいです。
ある日曜日。
彼は登園が10時前になってしまいました。
「どうしてこんな時間になったの?」と先生から聞かれ、はっきりと答えられない彼。「だって寒いんだもん。」と小さな声で答えていました。私も朝が苦手だからよくわかる。わかるけどその理由は可愛すぎる。その場にいたみんなで笑っちゃいました。
「小学生になったらもっと早起きしなくちゃいけないんだよ、できる?」
「明日から9時までに保育園においで!先生も早番だから待ってるね、約束しよう!」
その先生の言葉に不安そうに頷いて彼は帰って行きました。明日、○○くん早く登園できるかな。不安そうだったな。なんだか私までドキドキしていました。きっと彼はもっとドキドキしていたのでしょう。
翌日の朝9時前、私が園に着くと、なんともう彼の姿がありました!
早起きの約束をした先生と一緒に、楽しそうに遊んでいます。
ほっとしたと同時に、少しだけ彼が大きくなったように見えました。
桜の咲く季節にピカピカのランドセルを背負って歩く姿が目に浮かぶのです。
(想像だけで目が潤んでしまう自分がいます。)
年が明けて、心機一転。
そらのまちほいくえんでも来年度に向けた活動が始まりつつあります。
先生方がよく口にする「種蒔き」という言葉。
まさに、保育園での活動はすべて種蒔きだなと感じています。
彼らの今後の成長を見越し、そのために今必要なこと、やっておきたいことを活動に織り込む。
クッキングで色んな調味料を試してみるのは、いつか彼らが自分のごはんを作るようになったときに、自分なりの「美味しい」を生み出すことが出来るようにするため。
縫物に挑戦してみたら、生活に必要な雑巾やマスク、もっと発展して洋服を作ってみたいと思うひとがいるかもしれない。
そんな「いつか」や「ちょっと先の未来」に願いを込めて、種を蒔き続けているのだろうと思うのです。
彼と早起きの約束をした先生は決して怒ってはいません。彼が小学生になったとき、生活リズムの変化を受け入れやすくするための練習を始めたい。かなり直接的ですが、これも種蒔きのひとつです。
彼はこの日に限らず、毎日早めに登園するようになりました。
緩やかに、でも確かに、春が近づいているのですね。
編集こぼれ話

園で待っている副園長先生にあげるために、
彼は餅の振る舞い行列に並びました。
優しい優しいみんなのお兄さんです。