
環境学博士に聞く地球温暖化の話 Vol.2 〜前編〜

第53次南極地域観測隊のひさしさんとの前回のインタビュー(環境学博士に聞く地球温暖化の話 Vol.1)で、またもや核心に迫れなかった「地球温暖化って本当に人のせいなんですか?」という問い。
今回はついに、そのへんのお話を聞くことができました。
そして、なんと。脱線ばかりだと思われた(?)最初のインタビュー(地球温暖化の話・序章)でのお話が、今日の話の核心部分に深く関わっていました。

ひさしさん、こんばんは〜。

こんばんは!今日もやる気満々です。

前回のインタビュー、本当に多くの方が読んでくださったようです。

ほんとに!!すげーうれしい!!

ね!

と同時に、もっとてきとーにやんなきゃと…笑
真面目すぎずに。笑
いや、真面目なんですけど、目を背けたくなる現実だからこそ、笑い飛ばしながらしっかりと向き合う必要があると思うんです。

明るく前向きに。でも、内容はしっかりと!ですね。
ただ脅したいわけでも、偉ぶりたいわけじゃないですもんね。

そうそう。

このインタビュー、読みやすさが好評ですし、地球温暖化ということにこれまであまり興味を持っていなかった方や、子どもたちにも広く読んでいただきたいですね。
で、、、。
いいかげん、「温暖化は本当に人のせいなのか」という本題に入りたいわけですが、その前に、、、、、。

もう脱線!笑

いやー。亀岡さんとのお話聞きたいなと思って。

おお、、亀岡さん!
これがね、最近の僕は心にいつも亀岡さんなんですよ。


硫黄島の海辺で発見されたアオウミガメ(亀岡さん)
先日ひさしさんが私に送ってくださった「亀岡さん」のこの写真。
正直なところ、こころのどこかで こういうものは”遠い外国で起こっていること”みたいなイメージがありました。

そう。僕もインスタとかでときどきこういうの見ることあったんですが、まさか硫黄島で、こういう場面に遭遇するとは思いませんでした。
見つけたのは、りささんもご存知、隣人の棚次さん(本人了承済)です。

は〜!棚次さんが見つけて、ひさしさんを呼んだ?

そうなんです。
あの、去年の合宿でチェックアウトの途中で手をあげて、宣言してオナラをしにいった彼です。

笑!
よくぞ見つけてくださいましたね。

はい。
「博士ならなんとかできる知り合い居るんじゃないか」ってことで僕を呼びにきてくれて。
行ってみたらこういう状態だったんです。

そもそも、硫黄島の海岸では、こういうゴミはよく打ち上げられているんですか?

あー、ありますよ。結構あります。
今回亀岡さんが絡まってたのはたぶん漁網だと思うんですが、それごと打ち上げられてました。

そっかぁ。

駆けつけたらまだ生きてたので、助けようと。

このとき、亀岡さんは元気ではあったんですか?

いやー、打ち上げられて数日は経ってたんじゃないかなあ?

こんなふうに、ひっくり返ったまま?(涙)

はい。可哀想に。

、、、、。

まず水だ、と思ってそのへんのボトルで水かけてあげて。

さすがは、獣医を目指していただけありますね。

やー、とりあえず喉乾いてるだろうから、と思って。
ひっくり返った状態で飲ませるのがよかったかは謎ですが。

笑
海水ですか?

そうです。

なんか、申し訳なさで泣きたくなりますね。

よく考えたら淡水の方がよかったか、、、。笑

え?
そうなんですか?!

たぶん。
海水って飲んだら塩辛くてよけい脱水になるっていうじゃないですか。
そういえば普段水分は海藻から摂るってのも聞いたことあるし。

!!!
わからない!
海藻の中には淡水がある?

(ちょっとハッとしている)

あ、、、。
いいか。笑
知りたい人は自分で調べていただきましょうか(雑)

でもあるんでしょうね。
うまいこと塩を吐き出しながら生きてるってことにしましょう。気になる人、調べて(笑)

ででで?

で、ハサミで網を切って救出。

おぉ!
「そして、亀岡さんは嬉しそうに海へ帰っていきましたとさ、めでたしめでたし」とはならないわけですね?

はい。涙
可哀想に、目とか鼻とかに、めっちゃ砂が詰まってしまってて。

涙。
だいぶ もがいたんでしょうね。かわいそうに。

ほんとに。。目とか鼻からでる粘液が固まってしまってて。
30分くらいですかね? 水かけつづけて、やさしく砂を落とすように。

ありがとうございます。

いえ、礼には及びません。

龍宮城を代表して、、、

それまだ!!もーちょい現世で生きたい!!

笑

まーそんなこんなで、松の葉っぱで鼻の穴に詰まった砂もつついて落として開通させて。

その後、亀岡さんはどうしたんですか?

持ち上げたら多少暴れたりもしたので、いけるか?ってことで海に放ってみました。

おおお?
それで?

力強く泳ぎ始めた! …ようにみえたんですが。
お尻が浮いて潜れなくて。

え?

このとき、海亀にめっちゃ詳しいMBCの大内くんを通じて「ウミガメ協議会」に連絡しながらだったんですが、お尻が浮いて、、って伝えたら「お腹にガスが溜まってるんじゃないか」とのことで。

第一発見者の彼と同じですね。

そうですね…やはり類は友を呼ぶといいますか。

(大笑)
それで?

手を挙げて、「おならしてきていいですか?」って、、、(違)

大笑!吹いたw

泳いでもうまく海の方にいかず弧を描いて岸に戻って戻ってきてしまったこともあり、、、保護することに決めました。
協議会の方から「すこし人肌くらいのお湯に入れてあげると出ることがあるらしい」と教えていただいたので一旦うちの風呂にでも入ってもらおうと決意。
亀岡さんと名付けて大岩根家にご招待したわけです。

おお。お礼を申し上げます。

いや、礼には及ばんよ。

笑

うちでシャワーとか浴びてフンフンしてもらってる間に、ウミガメにめっちゃ詳しい知り合いが、鹿児島水族館の館長さんと連絡とってくれて、亀岡さんを水族館で受け入れることが可能か、みたいな交渉をしてくれて。

おおお!

鹿児島市役所、三島村役場、環境省、水族館などなどがやりとりしまくってくれて、

不幸中の幸い!

書類を作ってくれて、亀岡さんの受け入れができるようにしてくれたんです!

なんと!

マジ感謝。

すごいですね。

ね。 そんで、次の船に載せて亀岡さんを鹿児島にお連れしようと。

おーーーー!

でも、次の鹿児島ゆきが3日後だったので、

え!毎日ないの?船。

ないっすよ…!
週4便。

なんかいい。
豊かです。

そう。動けないのがいい。
諦めがつくんで。

3日間、亀岡さんはどうやって過ごしたんですか?


枕?

そう。笑

なんで?
ガスが出やすい??

口からはオナラせんのでw

あ、、、。

呼吸するとき、水面からぶはーってやるでしょ? あの姿勢で気道が開くと教えてもらったので、なるべく楽に呼吸できるようにと思って、、、。

おぉぉぉぉおお!

枕置いてみたけど、効いたかどうかは不明。

いい人に出会えてよかった。
この姿勢で動かないんですか?

そうなんですよー。動かない。

涙。

寒いのがアカンとのことだったので、

ほぅ。

硫黄島に移住して初めてヒーターを出してきて、
風呂を貸し切りの温室状態にしまして。

(ひさしさんは3日間、どこで風呂に入ったのか)

うへへ、、、
硫黄島はですね、週3日、温泉営業があるんですよ。

おーーーー!
こちらも毎日じゃない!

笑

いい。
その時間の流れるスピード、とても豊かです。

しかし、豊な温室にしててもですね、
甲羅が乾燥してくるのがあかんということで、、、。
ときどきいい加減のお湯をかけてあげてました。

手厚い!

温室にしててもやっぱ寒いみたいで、

そうなの?!

どうしても床が冷えちゃって冷たいんですよ。
でもお湯かけてるこの時だけは、「ぶはー」の声が気持ちよさそうで。

え?
「ぶはー」って言うの?

はい、呼吸するとき、「ぶはー」って。

かわいい。

そう。ほんとに!! ぶはー、っていうんですけど、その声の質が寒いときと、お湯かけてあげるときで違うのがわかってきて。

へーーーー!
子育てみたい。(赤ちゃんの泣き声で、今何で泣いてるかがだいたい分かるようになってくる)

気持ちいいならやったろう、ってなるじゃないですか。

はい!

そうそう、餌も水もたべない状態だったんで。
せめて「ぶはー」くらいはと思って。

うんうん。

そんなこんなで、3日間耐え忍んでもらって、やっと鹿児島へ。
専用のベッドを準備しまして、、、。

ベッド!

ホッカイロ(貼るタイプ)2こと、湯たんぽ入り。

おーーーー。
そんなに暖かくするんだ!


箱(笑)。

朝までブロックしなきゃいけないですからね。

笑w

で、特別に許可をとって船内のあったかいとこに置かせてもらって。

あーーー!
だから、ここに置いたんだ!

この日は6時間半の航海で、鹿児島へ行きまして、

え。
そんなに遠いの?

鹿児島→竹島→硫黄島→黒島、翌日に折り返し、の2日かけて1往復する帰り(上り便)に乗ろうと思ってたのですが、1日目が欠航したので、2日目で 鹿児島→竹島→硫黄島→黒島→鹿児島、という運行に変更になり それに乗ったので黒島まわりだったから時間かかっちゃったんです。

ひさしさん、船よわいのにw

そう。この日もゆれましてね…涙
エニウェイ、なんとか鹿児島についたら水族館の方々がお迎えにきてくださってて!

わぁ!!
なんか安心した!

すぐにあっためて、注射、点滴。まず水分でした。

まさに、救命救急ですね。

エコーでお腹みたりとか、さっきいい忘れたけどヒレの付け根が怪我してたのでその処置とか。

涙。

いろいろやってもらって。
やっぱり外から来た子なんで、病気とか可能性もあるから他の生き物と一緒にできないってことで、急遽カメハウスも作ってもらって。

へー、そういう視点もあるんだ!

温水の打たせ湯、半身浴、、、。

なんか、ラグジュアリーですね。

OLかってくらいの待遇でした。
それから順調に回復してまして。
1週間後には自力で海藻をたべたり!

おおお!

一昨日は広い水槽にお引っ越し!

おーーーーーーーー!(嬉)

(かごしま水族館提供)
元気に泳げるまでに回復してます!!

よかったーーーーーー!

2月上旬には硫黄島に帰れるんじゃないか?ってことで、タイミングはかってます。

おーーーー!

ほんとによかった。

でもまた 人間が汚した過酷な海に帰るんですね。
申し訳ない。

そうなんです…少しでもゴミ減らしたい。
あとね、今回亀岡さんが絡まってしまってた漁網も、もともとゴミじゃなくて台風とかで流されてしまったものかもしれないんです。
僕たちが魚を買って食べることができるっていうのは、裏側でこういうことを間接的に買い支えている、ということでもあるんですよね。

そうか…複雑な気持ちですね。
そうしたいわけじゃないけど、結果としてそうなってしまっている。

たくさん獲る=儲かる、じゃない仕組みができたらいいんですけどね…
必要な分だけ獲った場合にいちばん儲かるような。

そうですね。
そう、亀岡さんは 男なのか女なのかという話題で、先日ひさしさんと話したあと、実は色々調べたら、カメと温暖化 意外な関係があったんです。

おお?!

なんと、ウミガメの性別って、卵が生まれる巣の中の温度で決まるらしいんです。
一年のうちでオスとメスの比率がだいたい半々くらいになるような気温の時期に卵を産むようなんですが、温暖化の影響でオスとメスの比率が極端に偏ってきていて、いくつかの地域では圧倒的にオスが少なくなってきているようなんです。

まじかーーー。

、、、、。
で、、、あれ?
今日って何の話でしたっけ?

あ。

温暖化は本当に人のせいなのか!

そろそろ、、、入りますか!
本題!

はい!
早速ですが。
何か、「一目瞭然」的な証拠ありますか?
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↑ ついに!温暖化の話に入ります。
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ひさしさんとのインタビューシリーズ
・序章:ひさしさんってどんな人?
・Vol.1:本当に温暖化って起こっているの?
・Vol.2・前編:気候変動だけじゃない!ひさしさんが保護したウミガメの話 (このページ)
・Vol.2・後編:気候変動に関するデータは科学者たちの涙ぐましい努力の結晶
・Vol.3・前編:もう引き返せないかもしれない?ポイントオブノーリターン
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