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りさこの部屋 (ゲスト:東郷先生)

インタビュー
りさこの部屋 (ゲスト:東郷先生)
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interviewee 東郷未来先生 ひより保育園給食室

元音楽教員で、今はひより保育園の給食室に勤務してくださっている東郷未来先生にお話を聞きました。

※東郷先生は、ご自身が働くだけでなく、1歳の息子ゆうま 君もひより保育園に通わせてくれています。

ふるかわ りさ

今日はよろしくお願いします。

も~、楽しみにしてきました。
このインタビューの別名が「りさこの部屋」だと聞いたので、オープニング曲を練習してきました!

ふるかわ りさ

え??? もしかしてそのピアニカですか??(笑)

ふるかわ りさ

((大爆笑))
もう、インタビューこれで終わって大丈夫な気がするんですが。

えーー!!!
でも、こういう、頼まれてもない、自分なりのアイディアを(事前に許可を得なくても)「やってみよう!」って思えて、実行に移せるのもひよりのいいところなんですよね〜。

ふるかわ りさ

確かに。大歓迎ですもんね。こういうの。(笑)
しかし、インタビュー第2回目からハードルあげましたね!インパクトありすぎる。(笑)

ふるかわ りさ

では、さっそく質問を。
開園前に、「ゆうまくんはまだ保育園に入れるには小さすぎるんじゃないか、まだかわいそうじゃないか」って意見があったじゃないですか。
それに関して、入園前と後とで、心境とかゆうまくんの様子の変化ってありましたか?

入園前は、今振り返ると、確かに私も 覚悟が決まってない面がきっとあって、そういう自分の不安が、、、
子どもを預けながら働いたことがないから、どうなるんだろうっていうような、そっちの不安要素ばっかりが出てきて。
そういうので(息子を)あおってた部分があったのかなぁって。
(開園前の時期は)とにかく ゆうまが不安定で。
連れてきては泣く、一時預かりに連れて行こうとすると、もう、駐車場からギャンギャン泣いて。
それに対して私も罪悪感を覚えて。

ふるかわ りさ

うんうん

私は、職場に入ってしまったら仕事が楽しいから、気持ちの切り替えができるんですけど、「自分が」ひよりで働きたい「自分が」ひよりに子どもを入れたい。
そういう「自分の」想いで、子どもを「犠牲」というか、、、、。

ふるかわ りさ

うんうん

また、人の目もすごく気になるので、「子どもがかわいそう」って言われることを私はしているんじゃないかって。

でも、絶対に(ひより保育園に)入れたら後悔しないという想いだけはあったので。
絶対ひよりが開園したら「よかった」と思える日が来るんだ、そのために今私はやっているんだと、自分に言い聞かせて。

ふるかわ りさ

うんうん(笑)

で、結果的には、入園パーティの日から(大丈夫でした)。

ふるかわ りさ

でしたね。

子どもが集まればね。
うん、次の日も。
預ける時と、迎えに行った時は泣くんですけど、まぁ、保育の先生方が頑張ってくださったんだと思うんですけど。

ふるかわ りさ

いやぁ、でも結構、初日から ゆうまくん堂々としていましたよ。(笑)

(笑)
「ゆうま先輩」って先生方から呼ばれていましたもんね。
「すべり台の使い方、俺 知ってるぜ」みたいなね。

ふるかわ りさ

そうそう。(笑)
先生たちが「さすが、ゆうま先輩、貫禄が違うね」って。

(笑)
でも、(あんなに泣き虫だったのに)本当に、今では担任の先生たちから「ゆうま君はしっかりしていますよね」って言っていただけて。
どんな”しっかり”なのか、
よく分からないけど、彼なりに気持ちを切り替えてやってくれてるのかなと。

ふるかわ りさ

うんうん。

なんか、家族とか親族以外に「安心できる場所」が一つ増えるって、すごい強みだなって思いました。
しかもそれが、親も子どもも同じ場所だなんて。
私はそれがすごくよかったって思いましたね。

ふるかわ りさ

うんうんうん。
ご主人も、花壇に花を植えてくださったりと、本当に家族ぐるみでひよりに関わってくださっていますもんね。

そうなんですよ。夫も「おやじの会」みたいなものができたらやるよ!っていつも言っています。

ふるかわ りさ

ありがたいです。

ふるかわ りさ

開園して3ヶ月ですけど、この3ヶ月でゆうまくんに何か変化ってありましたか?

まだ3ヶ月なんですね~!

ふるかわ りさ

もっと長く感じますよね。

はい。
変化。
うーん、一番はやっぱり、クラスの他の子たちもみんななんでしょうけど「言葉」ですよね。すっごくしゃべるようになりました。

ふるかわ りさ

語彙が増えましたよね。

はい。あとは、担任の先生方がおっしゃるんですけど、ひよりの1歳児さんたちは、1歳児にしては友達同士の関わりが深いって。
私はひよりしか知らないので、よく分からないんですけど、確かに3ヶ月経った今、入園当初にはみられなかったような子ども同士での横のつながりを感じますね。

ふるかわ りさ

へぇ~

一緒に遊んでいたり、お迎えに行って帰るときに、必ずクラスメイトとタッチとギュー(ハグ)をしたりとかですね。
昨日は5歳のお兄ちゃんともしていました。

ふるかわ りさ

上の子たちとも!

はいはい。上の子たちともよく遊んでいます。
今日も、3時までの間クラスメイトは昼寝をしていたので、以上児(3、4、5歳クラス)の部屋で遊んでいましたよ。

ふるかわ りさ

でも確かに、他の保護者さんたちからも「語彙が増えた」っていう感想はよくいただきますね。

やっぱり環境ってね。子どもってすごいなって、私と家で2人だけで過ごしていたらこんなには(語彙が)増えなかっただろうなって思いますね。

ふるかわ りさ

ふるかわ りさ

未来先生って、もともとは音楽の先生だったじゃないですか。

そこから、給食室に転向って、大きなジャンプだったんじゃないですか?

(笑)はい。大きなジャンプでしたね。
(自分でも)何考えてるんだろうって。

ふるかわ りさ

その きっかけってなんだったんですか?

(笑)ほんっとに、不純なんですけど。
はじめて ひより保育園ができるというのを知ったのが、去年の秋でした。
ココレカの人(=古川)が保育園作るんだ!」って。
それまでは、うちは転勤族なので、ゆうまを保育園に入れるなんて考えてもいなかったんですよね。でも、(ココレカの)ワークショップに行ったりだとか、霧島で外のつながりができてきて、楽しくなったら欲が出てきて。

ふるかわ りさ

うんうん。

最初はひよりで働けるなんて考えてもいなくて、「あぁ、こんなステキな保育園ができるんだな~」って。(自分には関係ないはずなのに)それでも募集要項を最後まで読んでる自分がいて。

ふるかわ りさ

(笑)

そしたら、調理補助は資格不問って書いてあって!
もう、そこからはトントン拍子で。

ふるかわ りさ

ひよりの職員第1号ですもんね。

そうらしいですよね~。
でも、決まったはいいけど「どうしよう」って。

厨房で働いたことないし、、、。

ふるかわ りさ

イメージがわかないですもんね。

そうなんです。
私、たぶんイメージがわかないことにすごく恐怖を感じる性格みたいで。

ふるかわ りさ

うんうん。

今まではある程度レールというか、ある程度予測可能な世界にいたので。
どうすればいいのか分からないのと、自分の(働きたいという)動機が不純だったのも、なんとなく引け目を感じていて。
みなさん、調理に対してすごく熱い思いを持ってらっしゃるので、私が採用されたことで、他の「熱い思いを持っている人」が、ひよりに入れないという状況を私は作っているんじゃないかとか。
「私、本当に辞めた方がいいんじゃないか」っていう波を、何度か経験しています。

ふるかわ りさ

うんうん。

でもやっぱり、ひよりへの執着が消えなくて。
自分の人生の中で「ここにずっといたい」と思える場所に関われるってなかなかないよなって。
しかもそれに親子で関われるなんて。
もう一生ないかもしれない。
夫の転勤まで何年間かかもしれないけど、やっぱり、、、っていう感じで。
しかもそこに(第2子の)妊娠がわかって。(笑)

ふるかわ りさ

でしたよね。(笑)

はい(笑)
もうだから、辞めようと思ったら辞められる要素はいっぱいありました。何回も、園長先生に(辞めますという)メールを書いて消して、ということがありました。
資格ない、子どもまだ小さい、妊娠したばっかり。
そしてこの3つが全て、一緒に働く人に迷惑をかける。
人に迷惑をかけるの、ほんっとに嫌なので。
でも、今こうやって、産休を取ってもそれでも続けていられるって、本当にありがたいですね。

ふるかわ りさ

実際、現場はどうですか?入ってみて。
今はもう、だいぶ慣れたでしょ?

そうですよね。もう3ヶ月、、、。
入る直前が一番苦しかったですね。

ふるかわ りさ

でしたね。みんなそうでしたね。

一回、りささん(=古川)から「食育チームどうですか?」って聞かれたとき、私「しんどいです」って答えられなかったんですよね。
たぶん、ひろみさん(給食室長)もすごく苦しかったと思うんです。
でも、私はそのとき、人の苦しさに気づく余裕がなくて。経験してる人は先が見えて当たり前だ、私はそれについていけばいいやくらいに思ってて、でもそのついて行く方法すら分からない。
他の人たちもすごく苦しいはずのに、それに寄り添うこともできない、ついていくこともできない、何かすることもできない。
でも何かしたい。
で、一人で空回りして余計な一言を言ってしまったりとか。けっこう食育チームは正面からぶつかっているので、何回も。

ふるかわ りさ

うんうん。

修羅場を何回もくぐり抜けているので。(笑)
私は、人との摩擦もすごく苦手だったんですけど、自分の中での苦しい経験が、結果として、今すごくいい方向につながっている実感があって。

ふるかわ りさ

うんうん。

開園前にりささんから聞いていた、チーム作りのこと。
まさにあれの通りに食育チームは(成長しましたね)。
今でもまだまだいろいろあるんですけど、私は自分がこのチームの一員でよかったなって思うし、それぞれのメンバーがいたから、今こうやって厨房が回ってるなって思いますね。

ふるかわ りさ

私もそう思います。

今起こっていることを客観的な目で冷静にみられる自分がいます。
今これは必要な衝突だとか、この人を含めて全体がチームとして上がるためには自分はどう立ち回ればいいだろうかとか。

ふるかわ りさ

うんうん。

私、開園前に、(給食室長の)ひろみさんに、かなりバッサリ言われたことがあったんですよ。
「そこまではっきり言うか?」ってくらいのこと。
でも、厨房に入ってみて、ひろみさんの言ってた意味がよくわかって。
あぁ、だからひろみさんはあんなことを私に言ってくれたんだって。

ふるかわ りさ

うんうん(笑)
はっきり ものをいう人ですもんね。

はい(笑)
もう、バッサバサ!(笑)
でも、本当に不思議な魅力のある人で、どんなに厳しいことを言われてもひろみさんにしがみついていきたいというか(笑)
もう今じゃぁ、ひろみさんがちょっと困った顔をしたり、私を頼ってくれたりすると、もう、すんごいやる気が出て(笑)
「やりますともぉぉおおお!ぜひやらせてください!」って(笑)もう、エネルギーが(笑)

ふるかわ りさ

笑!

開園前にこういう気持ちがあればよかったんですけどね。

ふるかわ りさ

いやいやいや、少しずつぶつかり合いながら。
人の性格とか、ものの言い方の特徴とか、得意なこととかわかってきて少しずつチームになるですもんね。

はい。
私、人との付き合い方で、こんな経験ってすごく久しぶりだったので、とても勉強になっています。
みんな、みんなすごく苦しい時期が何度もあったと思います。

でも今は、自分なりに、私だからできる それぞれの人への関わり方をしていこうと考えられるようになりました。

ふるかわ りさ

給食室って、園児の命に関わる現場ですもんね。
みんな真剣だから。

はい。
厨房に入ってしまえば、経験があるかとかないかとか、そんな言い訳できないですもんね。
だから、私は、調理の人たちがほんっとに神経を張り巡らせて作ったそれを、私が担当している「配膳」の部分で台無しにしてしまってはいけないって。

ふるかわ りさ

すごくプレッシャーの大きい現場だと思う。

はい。
まさかですよ、まさか。
まさか、自分の人生で、厨房に立つ日が来るだなんて。(笑)
でも、楽しいですね。やっぱりね。

編集こぼれ話

ふるかわ りさ
初めての職場、初めての厨房での仕事。
しかも息子さんを預けながら、おなかには第二子を抱えて。
いつも物腰が柔らかく、笑顔が絶えない未来先生ですが、開園前のシミュレーションのとき(人手が足りず急きょ私も)
一緒に厨房に立った日のことよく覚えています。
普段からは想像もできないような、まっすぐで真剣な眼差し。
緊張と、責任に対するプレッシャーと、ここでやって行くと腹を決めた覚悟が入り混じったとても美しい横顔。
きっと、つらい日も、腹の立つ日もたくさんあったかと思います。
それらを、美しく繕わず、本音でお話しくださったことにとても感謝していますし、なくてはならない食育チームの大事な一員として、ひよりの食を支えてくださっていること、心からありがたいと感じています。

インタビュー後、
「本当は、もっと、厨房の一人一人のいいところを
聞いていただきたかった!」とおっしゃっていた表情が
印象的です。

まずは、元気な子を産んで。
はやく厨房に帰ってきてくださいね。