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お別れパーティーをセルフプロデュース!?

保育園の中の話

お別れが寂しいことだと、彼らは知っているのでしょうか。
小学生になることを嬉しそうに話す横顔が、私には時々滲んで見えます。

 

こんにちは!
そらのまちほいくえんライターのてらだおうみです。
いよいよ卒園の時期が来てしまいました。私にとっては初めて送り出す卒園児です。

 

今年の卒園児は4名。これまで1年間、年長児としてみんなを引っ張ってきてくれた、頼もしくて可愛いおともだちです。


(△身体を動かすのがとっても大好きな仲良しさん。)

 

そんな彼らが自分たちでお別れパーティーを開催することになりました!
なぜ“自分たちで”なのか。とっておきの秘密をご紹介しますね。

 

 

1ヶ月ほど前のことーー。

 

卒園までにしたいことって何がある?

そう問いかける先生に、小さいひとたちの返事は、

『かき氷が食べたい!』『プールに行きたい!』
『シャボン玉・ふうせん・どんぐりで遊びたい!』
『保育園に泊まりたい!』『遠足に行きたい!』

などなど、意見が止まりませんでした。

どれも全て叶えてあげたい。先生方も私もみんなそう思います。
しかし、かき氷やプールをこの時期には適さないという大人の事情もあります。温水プールを備えた施設は園から遠く、行き帰りの道のりで寒くて風邪をひいてしまうでしょう。そうなると卒園まで残り少ない園生活がお休みでもっと短くなってしまいます。

 

とりあえず出来ることは毎日の遊びの中に取り入れてみることにしました。丁寧に練られた計画を一旦置いて、小さいひとたちの「やりたい!」という想いを大切にしてくれる先生方だからこそ、彼らも安心して自分の考えを言葉にできるのかもしれません。


(△園内で風船を使って思いっきり遊びました!)
(△天文館公園に行ってシャボン玉もしました!)

(△どんぐりで遊ぶため、季節外れですが探しに行きました!)

 

たくさん出てきた意見の中でも、もっとも想いが強かったのが、『遠足に行きたい!』というもの。どんな遠足にしたいのか、先生と卒園児はいっぱいいっぱい話し合いをしました。


(△話し合いのグラフィックレコーディング。全て卒園児から出てきた意見です。)

 

・なぜ遠足に行きたいのかどこに行きたいのか
・誰と行きたいのか
・そこで何をしたいのか
・どうやって行くのか
・必要なお金はどうするか
・これからどんな準備をしなくてはいけないのか

ただ「やりたい!」という想いだけで走ることなく、現実的に、そして着実に計画を立てる姿はまさに大人顔負け。

彼らの強い希望は「いつもと違う場所で遊ぶこと」と「そらのまちほいくえんのみんなで行くこと」の2つでした。0歳児の赤ちゃんを思いやる優しさ、でもたっくさん遊びたいと思う子どもらしさ。いろんな想いに悩まされる姿も(不謹慎ながら)とても可愛くて愛おしいんです。

本当は霧島市にある姉妹園のひより保育園へ電車に乗って出かけたかったのですが、新型コロナウイルスの影響もあり、自粛することに。そこでもう一度話し合い、作戦会議です!


(△二度目の話し合いのグラフィックレコーディング。)

 

「とっても頑張って計画した遠足でしたが、日本中のみんながやりたいことを我慢しています。一番大事なのはみんなの命を守ることです。保育園の中で出来ることで、ワクワクすることを一緒に考えよう!

 

先生のこの一言で、卒園児の4人は目の色が変わりました。

 

「だったらみんなでダンスをしたい!」
「いつもはクラスごとに遊ぶけど、みんなで一緒に遊びたい!」
「机を全部繋げてみーんなで給食を食べようよ!」
「○○先生も、××先生も呼んだらいいんじゃない?」

 

そらのまちほいくえんの3階には広いスペースがあります。小さな舞台もあります。ランチルームは大きな机を並べることが出来ます。

うん、これなら全部叶えられそう!!!

小さいひとも大きいひとも、ぐんぐんやる気が満ちてきて、「ワクワクしちゃう~!」と見せる笑顔の輝いていること!もうほんと、たまらんです。

 

司会進行も自分たちでする。パーティーの内容も自分たちで決める。招待する人も、招待状も、全部ぜんぶ自分たちで。いわゆるセルフプロデュースのお別れパーティーです。

 

そう決まってからの彼らはとっても忙しそう。


(△招待状を配ったり。)


(△パーティーの座席表を作ったり。)


(△当日の進行で使うマイクを作ったり。)

 

この1か月でさらにぐんっと成長したように思える4人のおともだち。

お別れパーティーはいよいよ明日です。
いっぱい遊んでいっぱい食べて、素敵な思い出を一緒に作ろうね。

編集こぼれ話

てらだ おうみ
最後の一枚は園歌「そらのまちのおともだち♪」を歌っている様子。
まるでこれからの未来を覗いているような。

彼らが手にする卒園証書には、職員全員からの拇印が必要。でも私は押すことを渋りました。こんなに可愛くて大好きなおともだち、ほんとは卒園してほしくないです。