

子育てには時期に応じた壁があるものだけど、大人が「扱いにくいな」と感じてしまう場面が増えるのは、“魔の2歳”という言葉もある2歳ごろからでしょうか。ステイホームが続く中、ストレスを感じている人も少なくないかもしれません。
「2歳児さんって、めっちゃ大変です。でも、とってもおもしろいんですよ」と教えてくれたのは、石川あき先生です。
「自我が芽生えてあふれ出し、それぞれがそれぞれの興味へまっしぐらな2歳児さん。明日は何をしたら子どもたちが集中できるかな?一緒に楽しめるかな?と、前日の晩から想いを巡らせるんですが、翌日保育園へ行くと、子どもたちがやりたいこととはなかなか合致しなくて・・・。子どもたちにわたしの声は届かず、ただただ盛り上がって走り回ることもあり、対応に苦慮していた」のは、2歳児担任になったばかりの頃のことです。
「でもある日、わたしの声が届いた!と感じる瞬間がありました。子どもたちが、それは真剣な目で私を見ていっぱい話をしてくれ、その後もとっても集中して過ごせたのです。それは、子どもたちに以前とはちょっと違う接し方をしたからだったと思います」とあき先生。
“ちょっと違う接し方”って気になりますよね。
「これから先の見通しが立っていないとき、子どもたちは、ただ自分の興味があるところに走って行ってしまいがちでます。でも例えば、『今日はお天気がいいからお外へ行こうと思うんだよね』という見通しを伝えてから、『お外行くときには何するんだっけ?』と質問すると、『靴を取りに行く』『おしっこに行く』『帽子を取りに行く』などと答えられる。子どもたちは自分で考えられるし、自分で考えて言ったことはできるんです。でも逆に、『帽子準備してね』などと先走って指示しても、声は届かない」んですって!
この質問形式の関わりは、年齢が上の子どもたちに対して他の先生方がしていたものでした。一般に2歳くらいまでは、友達同士の関わりは少ないとされがちです。でもあき先生は、1歳児さんでも帽子がかぶれない子や靴下を履けない子を手伝ってあげようとする様子に接し、共同生活の中にいる子どもたちは、大人が思っている以上に相手のことを認識し、考える力があることを実感。年齢に関わりなく質問形式の関わりを始めてみたところ、「声が届いた」というのです。
また、「見通しを立てる」効用は、こんなことでも見られました。
そろそろ、給食の「いただきます」を言ったり、台を拭くなどのお当番ができる時期かな?と始めようとしたところ、僕がやりたい~、私がやりたい~と、みんながやりたがって困る(大人とは逆でかわいい^^)事態が発生。それは、「毎日お当番を発表するのが憂鬱だった~(笑)」というほどでした。
これを解消するために考えたのは、壁に子どもたちの名前やマークを貼り、そこにお当番のカードをぶら下げて、「あと2回したらあなたの番」などと目で見て分かるようにする方法でした。これで先が見えるようになった子どもたちは、安心して自分の番を待てるようになったのです。
先生方も親と同じく、日々悩みながら、様々な試行錯誤を重ねているのですね!
大人が一方的に指示するのではなく、ちょっと先の見通しを示して子どもが考えるタイミングを促すことで、こんなにも子どもたちとスムーズに関われるなんて!ぜひトライしてみたい方法ですね。そしてこれは、子どもたちが自分で考える力を育むことにもなりそうですね!
最後に、「おやつ買って~」のギャン泣き対策も教えてもらいましたよ。これにも実は、【見通し】の技を使うのです。お店に入る前に、「今日は、〇〇を買って帰ろうね」とか「今日は、おやつは買わないよ」といった見通しを子どもに伝えておくのです。ただ、肝心なのは、言ったことは絶対に実行すること。そこで言ったことに反して買っちゃったら、大人の負け~~気を付けてね。
ではみなさん、チャレンジを~♪
編集こぼれ話

「2歳は注目されがちだけど、実は、0歳でも3歳でも同じです。そして、そして何歳からでも遅いということはない。これを読んだ方が、今がタイミングだと思ってもらえたらいいなぁと思います」と話してくださったあき先生でした。