読みもの
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「ふみだすよろこび」を、分かち合う

保育園の中の話

そらのまちほいくえん保育チームのとうごうみくです。

新しい年を迎え、今年度もあと3ヶ月きりました。小さいひとたちは、変わらず毎日を楽しみながらも、それぞれのクラスで少しずつ進級に向けた活動を取り入れています。

1歳児クラス(みんなお誕生日を迎えて、2歳0ヶ月〜2歳9ヶ月12人のおともだちです。)では、この日初めて給食のお膳に木の汁椀が出ました。
これまで味噌汁やスープ等の汁物を両手マグを使用していましたが、持ち手のない汁椀でのむ練習をしていくことになったのです。

(こちらがこれまで使っていた両手マグ。持ち手がついているのでこぼしにくくのみやすいです。ちなみにこの味噌汁の中に入ってる豆腐は、小さいひとたちがちぎって入れてくれたものです♡)

まずは、何も入っていない汁椀を持ってみるところから。
「ふたつのてで、こうやってささえてあげてね。」先生がやって見せてから。

(先生とおんなじように持ってみる。両手でそうっと。だいじにね。)

(お兄さんお姉さんと同じおわんだね。とっても嬉しそう♡)

いよいよスープを入れてみます。この日は和風ミネストローネ。
具は外してお汁のみ。最初だから、少しだけ入れるね。

(おともだちがみんなの前で挑戦。ちょっぴりドキドキ。とってもじょうずだよ。)

(さあ、みんなもやってみよう。いつもより真剣な眼差しでスープをすする。みんな、かっこいいね。おいしいね。)

ほんの一口ぶんのスープをだいじに飲み干す。その姿がとても凛々しくて可愛らしくて。
今度は、具も一緒に入れてみます。スプーンも使いながら、どんどん食べていきます。

(スプーンを持って、具を口に運んで、また飲む。スプーンを持つ、という動作が入るだけでまた1つステップアップです。)

途中、ひとり、ふたりとこぼしてしまいました。
先生が「こうやるんだよ。」と拭いて見せます。
こぼしたら、拭けばいい。これも大切な経験です。

持ち手のない汁椀を使ってこぼしてしまうこと。
陶器のお皿を落としたら割れてしまうこと。
「こぼさないように」「割らないように」と大人が全てやってあげたり、最初からこぼれない・割れないような食器を使えば確かにこぼすことも割れることもないかもしれません。
でも、それよりも実際に使ってみる。こぼれること、割れることを体感する。こぼれたら拭いたらいいことを知る。経験を重ねて、どうすればこぼれないか割れないか、自分で「やり方」を見つけていく……時間も手間もかかるかもしれませんが、そらのまちほいくえんが「食べる」上でとても大切にしていることです。

じゃあ、いっぱいこぼしたり割ったりしてしまうのかな?と言うとそういうことでもなく、小さいひとたちは大切なものは本当に大切に扱えます。これらの写真がそのことを物語っていますよね。もちろん、日頃から私たち大人がその姿を見せておくことも大切だと思います。
あるおともだちは、「このおわん、せんせいとおなじだね。せんせいみたいだね。うれしいね。」と言っていました。ああ、小さいひとたちは本当に色々なことをしっかり見ている。と、ハッとさせられる言葉でした。

どんなことでも「はじめて」は、ちょっとエネルギーが必要で、覚悟も必要で、踏み出すまでが億劫だったりするもの。でも、小さいひとたちはいつだって成長する喜びに満ち溢れています。その瞬間に立ち会えること、喜びを分かち合えることは保育者として何より幸せなこと。これからも、小さいひとたちに寄り添いながら、ひとつひとつの「はじめて」を見守っていきたいなと思います。

編集こぼれ話

東郷未来
我が家も2人の小さいひとたち(5歳息子と3歳娘)がまさに色々なことに踏み出している最中…でも「見守る」とは程遠い現実に、この記事を書きながら反省している私です。(苦笑)
なかなか余裕もないですよね。つい、自分の都合で動いちゃいますよね。でも、写真のみんなの表情を励みに、自分自身も踏み出す喜びをもっと感じていきたいものです。