

2020年12月27日に開催された「第26回 鹿児島おいしい大地の学校 ※」。
今回は、これまでで最も大きなテーマ「命」と向き合います。
私たちの多くにとって初めての経験だったため、
今回は参加者をひより保育園と、そらのまちほいくえんの職員とその家族に限定して開催しました。
テーマと開催日が決まってからも、自分は参加するか、しないか。あるいは、我が子を連れていくか、いかないか、そして当日どこまでの範囲で関わるか。
それぞれに何度も何度も考え、話し合い、迷い、葛藤して この日を迎えました。
中には「参加しない」と決めていたけれど、当日ギリギリまで子どもたちと話し合い参加して命の消える瞬間を見届けると駆けつけてくれたメンバーもいました。

講師を務めてくださった樋渡先生
卵を産む鶏のこと、生まれた卵がヒヨコになるまでのこと、自力で殻を割ることができずに生まれない命もあること、そして、このあとどのようにして鶏を食べ物に変えていくのかということ、お肉や卵が私たちの食卓に上るまでにはたくさんのプロフェッショナルが関わっていること。
ここには書き切れないほどたくさんのことを教えていただきました。

いよいよ鶏を解体します。
もっともっと生々しい場面を覚悟していた私たちには、意外すぎるほど静かに静かに時が流れました。
今回2羽ご用意頂き、1羽は体を支え、もう1羽は血抜きをさせてもらいました。手の中で、静かに命が消えていくのがしっかり感じられました。命を頂くということは、命を受け継ぐことなのかもと思います。せっかく頂いた命、おいしく食べるのも、また大切な事だなと思いました。
子どもも含め 誰一人として泣くことも、目を背けることもなく、それぞれがそれぞれの距離感でこの瞬間に向き合いました。
いつも鳥をころして食べるということは知っていた。でも、その「ころす」ということにたくさんの気持ちが必要だった。まず1つ目、わたしはころすところがこわくて見ることができなかった。それなのにひわたしさんと、やなぎー先生はとりくんでいた。かんたんそうに楽しくとりをころす人はいない。きっとひわたしさんとやなぎー先生も怖かったと思う。わたしはころされた鳥がこわくてさわれもできなかった。あとから、少しくらいはさわればよかったと思いました。 (小学生)
血を抜いた鶏をお湯につけ、羽をむしります。
最初は遠巻きに見ていた子どもたちや女性たちも、少しずつ鶏に近い場所に集まってきました。
最初は先生が一人でしていた作業を、誰からともなく手伝い始めます。
不思議なもので、この工程が過ぎると「鶏」から「お肉」へと見え方の感覚が変わります。
バナーで皮の表面全体を丁寧にあぶります。
こんなにしっかり内臓や肉の部位を見るのは初めてで、美しいと感じる自分がいました。捌くとき、まだ温かくて柔らかくて、大切に捌かせてもらおうという気持ちになりました。お店で買った鶏肉を切るときにはなかった感覚でした。
関節の位置や、包丁の向き、各部位の名前、味の特徴などを丁寧に教わりながら、希望者が鶏を解体していきます。
まだ、ほんのり温かい内臓。
多くの参加者から「こんなに美しいんだ」という感想が聞かれました。
・解体にうつるとき、お湯につけただけで羽が落ちるように抜ける事や10分ほど血抜きをしただけで肉には血が残らず皮を剥ぐとスーパーで売ってるような綺麗な“鶏肉”が現れたのは驚きました。
捌いたお肉と、今 子どもたちが収穫してきた椎茸、野菜を煮つけます。
寒さと、湯気の温かさ、そしておいしい料理の匂いと、空腹の自分。
先ほどまでの記憶が入り混じり、どう表現していいかわからない気持ちになります。
大地の学校主宰 高橋の掛け声で、樋渡先生 そして命をくれた鶏に 心を込めて感謝と「いただきます」の挨拶をします。
おいしかったです。でも、そのおいしかったというのは、いつものとちがってふしぎな「おいしい」だったです。あんなにかんしゃして「いただきます」と「ごちそうさま」を言ったのははじめてでした。
温かく、しっかりと味のしみた煮物はとてもおいしかった。
それでもいろんな感情がぐちゃぐちゃに押し寄せてきて、急いで飲み込んでしまいたいような、うまく飲み込めないような複雑な感覚。
子どもたちも、大人たちも。
「おいしいね」と確認するように声をかけながら、最後の一口までしっかり食べ切りました。
「ごちそうさまでした」
心を込めて手を合わせいつもより何倍も丁寧に。
お土産にいただいた卵や鶏ガラ、料理に使わなかったお肉などを分け合って解散。
今日はただ見ている事しか出来ず、触る事も近づく事もできませんでしたが、自分なりに離れた場所からでも全部見届けられた事が、命を捧げてくれた動物に敬意を表せたと思います。
<参加者たちの感想(順次追加予定)>
※ 子どもと大人の食の学校は、2020年11月に「鹿児島おいしい大地の学校」に改名いたしました。