思うこと

インフォメーションギャップ

思うこと。

「インフォメーションギャップ」って言葉、ご存知ですか?

言語教育の現場ではよく使われる言葉で、
聞き手(書き手)と話し手(読み手)の間にある
情報の差のことを指します。

極論を言えば、世の中のコミュニケーションのほとんどが、
このインフォメーションギャップを埋めるために
行われているとも言えるのですが、
教師たちは、このギャップを嫌う(無視する)ことがよくあります。

具体的に言うと、第3課をやる日に、第2課の授業を欠席したAさんと、
第4課まで予習をして完全に頭に入ってるBさんとが同じ教室にいると、
面倒だな~と思うのです。

そもそも実生活の中で、自分と同じ量だけの
情報量や技術を持っている人と
コミュニケーションをすることなんてまずないのですから、
教室活動でも、個々人の間に
インフォメーションギャップがあるということを
「自然な状態」としてとらえて、
AさんにはBさんに「聞く」練習を、
BさんにはAさんに「伝える」練習をさせるといいのです。

教師がやるべきは、教科書を第1課から順に教えていくことではなく、
自分の知らないことにぶち当たった時に
誰かに聞いたり自分で調べたりする力や、
自分の知っていることを知らない人に会った時、
それをうまく伝える力を身に付けさせてあげることだと思います。

外国語の教室に限らず、母語話者同士の社会生活でも同じです。

コミュニケーションを厭わず、
このギャップをコツコツと埋めていく。

遠回りのようで、より過ごしやすい環境を作るのに
いちばん確実な道だと思います。